2012年3月31日土曜日

ジャクソンホール Day 4 同行した子供達と遊んだ後、ホンモノのジャクソンホールの顔を見る

朝起きてベッドルームから這い出してリビングルームから外を見る。
雪は降っていない。しかし、昨日のストームは標高の高い所にたっぷり雪を落としてくれているはずだ。
極端に朝に弱いもっちゃんがすでに起きている。昨日のパウダースノーが脳裏に焼きついて夢を見たに違いない。放っておけば24時間寝てる人なので一同驚く。
初日のジャクソンホールはくそホールだったが、今日は違うはずだ。そんな期待と共に僕以外のメンバーはタクの運転するでリゾートに向けて消えていった。
僕以外・・・・。そう、僕にはかわいい娘が2人いる。彼女らも今回の旅のメンバー。一緒に旅を楽しまなければならない。
3歳児と5歳児二人とスキーに出かけるにはかなりの覚悟がいる。彼女らのスキー道具は全て僕が持たなければならない。
まずは3人で朝ごはん。二人から容赦無く様々な注文が入る。
「牛乳!あったかいの~」
「フォークがな~い」
「パンが落ちた」

「おしっこ~!」
日本で買ったユニクロのヒートテックに着替えさせる。
わき道に反れるが、ヒートテックみたいな物をユニクロから出されたら中途半端なアウトドアメーカーはたまらないだろう。そのうちゴアテックスの類似品シェルまで出るに違いない。事実すでにH&Mでは透湿素材の
子供用レインウェアが発売されている。シームもしっかりしているし、ハイキング程度なら問題なく使える。勝手な想像だが手軽な透湿素材もナイロン素材並に安くなっているのではないだろうか?本気で「ユニクロアウトドア」なんて出たら既存のアウトドアウェアー業界は大変そうだ。
子供達を車に乗せてジャクソンホールを目指す。簡単に書いたが、二人にスキーウェアを着せて、二人分の道具を忘れないように車に積み、ご機嫌を取りながらシートベルトを締めさせ・・・・ああ、これが何年続くのか。子沢山の橋下大阪市長の偉大さに感服する。
ジャクソンホールに着いてまずは全ての装備をチケット売り場の前に下ろす。それから駐車場へ。駐車場からはシャトルバスに乗って再びリフト乗り場へ。ジャクソンホールは年齢層が高いこともあって2人の園児を連れた僕らはシャトルバスの中で大人気だった。おそらくアジア人が珍しいということもあるようだ。なぜか白人しかいない。アメリカでは白人専用バスがまだ走っているのかと思ってしまうぐらいの白人率。カナダに住む僕らにとっては少し異様な光景だった。
ジャクソンホールにはファミリーにとって素晴らしいチケットがある。初心者用リフト限定で子供同伴なら大人10ドル!これは凄い。初心者用リフトといってもここはアメリカだ。一本のリフトの長さが日本とは違う。3歳児には十分である。
滑り出すと、コース内の森の中に入るゲートがある。ゲートを抜けるとまるであみだくじのように行き先が分かれた細い通路が森の中を走って走っている。子供達は競うように森の中のトレイルを楽しんでいた。
子供達と滑る事2時間。僕は高級リゾートに子供達を連れて来た自尊心に大層満足して(10ドルですが・・・)いい気分になったところで、無線機からユキヨの声が聞こえた。
「子供の世話変わりたくないぐらい最高です。間もなくベースに着くので準備しておいてください。」
10分後、子供を嫁に預けて赤いトラムに乗り込んだ。

トラムが山頂駅に着く直前にトラムの左側に例のコルベッツキャビンが見える。相変わらずコルベッツキャビンの入り口には見物人が大勢見える。シュートに飛び込む滑り手は見えなかった。

トラムが山頂駅に着くと音楽が鳴り響き、DJの声がトラム内を盛り上げる。ドアが開くとヘルメットをかぶった本気の滑り手が次々に外に出て行った。

開口一番タクが言った。
「やばいっすよ。バックカントリーが」
タクは今日半日リゾート内を一切滑っていないとの事。
もっちゃんとタクの案内で、リゾートの南へ南へトラバースする。かなりの距離を滑るとスキー場外を示すロープが見えてきた。
スキー場外に出るのは完全に公認されているようで、スキーエリアからの出口にはティトンパスにもあったアバランチトランシーバーのチェック機が設置してあった。
アメリカは訴訟の国だ。スキー場によってはスキー外とスキー場内の間に滑走禁止地区を設けてスキーヤーが一切スキー場外に出ることが出来ないようになっているリゾートもあるらしい。僕のホームゲレンデのレイクルイーズや日本のニセコもそうだが、リゾートとスキー場外に出る人達の信頼関係はジャクソンホールでも崩れていいないようだ。それはそうだろう。ジャクソンホールは大都市からかなり外れたワイオミングの片隅のリゾートだ。

ここにいる人達は本気でスリルを求める本物の雪好きか、都会の雑踏から離れた静かな田舎に別荘を買えるような大金持ちのどちらかだ。危険なバックカントリーに飛び出すのは大半が前者である。

バックカントリーに入る。
一瞬言葉を失う。
そこには若いときに食い入るように見入ったビデオの世界が広がっている。斜度50度のパウダーライン、クリフ、シュート・・・・
参りました。。目の前に広がるバックカントリーエリアにはすでに無数のトラックが入っている。ビデオサイズのクリフを飛んだラインは素人とは思えない。僕のような素人がうなってしまうようなラインがシュートの中にもいくつかありえないラインを刻んでいる。コルベッツキャビンは完全に客寄せパンダだ。ジャクソンホールの真髄は完全にバックカントリーにあった。

目の前に見えるビデオ級のバックカントリーエリアはかなりのハイクアップが必要だ。残念ながらすでに午後の1時。今回は偵察という理由をつけて目の前の斜面をあきらめた。
僕らが立っている尾根の下に目を向けると緩やかだが、おいしそうなノートラックの斜面が広がっている。帰り道を探しながら少し重いパウダーを楽しみながらジャクソンホールバックカントリーを楽しんだ。
次回はきっとチャレンジングな滑りになりそうだ。なぜならホンモノのジャクソンホールの顔を知ってしまったからだ。

体力とテクニックを維持しながら長生きしないと損をするようだね。僕の生き方はどうやら生まれる前から神が決めていたみたいだ。

0 件のコメント:

コメントを投稿