そこはしんと静まり返り、断崖に囲まれた狭い空に照らされた空間だった。波一つ立っていない水面は鏡のように平でところどころに浮かんでいる流木の水面から出た部分が水面にきれいに映り上下対称に見える。自然界に完全に真っ直ぐな物を見つけるのは難しい。その代表格は水だ。湖面に映った富士山はその代表格である。
地層の創りだす芸術的ともいってもいいオブジェが次々に現れる。そんな中子供二人の目をやると景色には一切興味が無いようで、カヌーの底に寝転び絵本を読んでいる。騒いでいるよりはずっとましなので静かな環境で目の前に次々に現れる芸術作品を楽しんだ。
ところどころ太陽の光が狭い渓谷の入口をすり抜け湖面まで届いている場所がある。太陽の光が壁に反射して投写されると、まるで光の網の目が揺らめいているように見えて大変美しい。壁に近づくと自分の平衡感覚がおかしくなってくる。
「なんだか気持ち悪い、帰ろう。」
カミさんが急に声を出した。
女性は環境に敏感である。冬山に行ったら女性の指示に従えという登山入門書がカナダにあったと思う。
女性の方が確実に危険察知能力は上だ。子供がいる女性を知る人はご存知だと思うが母親としての用意周到具合は知性の範疇を完全に越える。数分歩けばコンビニに出会える大都会に行くのにお弁当を用意する、高級ホテルに宿泊するにもかかわらず自宅からタオルを大量に持っていく。それでも結果は大抵女性の方が正しい。
女性の偉大なる危険察知能力は3日後に明らかとなる。
Star Warsの見過ぎかもだけどTatooineで突然Tusken Raidersに襲われるシーンを思い出してしまいます(笑) 神秘的な不気味さを感じますね。
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