2012年12月12日水曜日
レイクパウエル 7 砂漠の渓谷に侵入!別世界が広がった。
そこはしんと静まり返り、断崖に囲まれた狭い空に照らされた空間だった。波一つ立っていない水面は鏡のように平でところどころに浮かんでいる流木の水面から出た部分が水面にきれいに映り上下対称に見える。自然界に完全に真っ直ぐな物を見つけるのは難しい。その代表格は水だ。湖面に映った富士山はその代表格である。
上下対称の世界をカヌーで行く。カヌーの先端が鏡面のような水を切り裂くき、後ろを振り向くと2つに別れた波紋が岸に向かってきれいに走って行く。波紋が渓谷の両岸の当たると、水面はまた静寂を取りもどす。
カヌーを進めるごとのに両側の崖は完全に垂直になる。壁は何重もの地層になっている。この辺りの地層が小さな砂粒から成る砂岩である。様々な大きさの粒からなる砂岩は触っみると脆くナイフで簡単に傷が着くほど柔らかい。崖にはところどころ小さな穴が規則的に並んでいる場所がある。
地層の創りだす芸術的ともいってもいいオブジェが次々に現れる。そんな中子供二人の目をやると景色には一切興味が無いようで、カヌーの底に寝転び絵本を読んでいる。騒いでいるよりはずっとましなので静かな環境で目の前に次々に現れる芸術作品を楽しんだ。
ところどころ太陽の光が狭い渓谷の入口をすり抜け湖面まで届いている場所がある。太陽の光が壁に反射して投写されると、まるで光の網の目が揺らめいているように見えて大変美しい。壁に近づくと自分の平衡感覚がおかしくなってくる。
カヌーを峡谷の奥に進めれば進めるほど両側の岸壁がせまり渓谷が細くなる。水面下は数十メートルの深さがあるはずだ。それを考えると急に恐怖が心臓近くに湧き起こり、ざわざわとした感覚が胸全体を覆った。進むにつれて両側の壁が迫って来る。そしてどんな種類の木かわからないがセージブラシのような小さな枯れ葉が水面に漂いはじめる。その枯れ葉が目立ち初めてから数十分すると枯れ葉が水面全体を覆った。枯葉に覆われた水面にパドルを入れるとまるで粘土をこねるような感触があった。カヌーの進みも遅くなる。
「なんだか気持ち悪い、帰ろう。」
カミさんが急に声を出した。
女性は環境に敏感である。冬山に行ったら女性の指示に従えという登山入門書がカナダにあったと思う。
女性の方が確実に危険察知能力は上だ。子供がいる女性を知る人はご存知だと思うが母親としての用意周到具合は知性の範疇を完全に越える。数分歩けばコンビニに出会える大都会に行くのにお弁当を用意する、高級ホテルに宿泊するにもかかわらず自宅からタオルを大量に持っていく。それでも結果は大抵女性の方が正しい。
女性の偉大なる危険察知能力は3日後に明らかとなる。
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Star Warsの見過ぎかもだけどTatooineで突然Tusken Raidersに襲われるシーンを思い出してしまいます(笑) 神秘的な不気味さを感じますね。
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