2012年12月23日日曜日

レイクパウエル 8 砂漠の渓谷に侵入!別世界が広がった。

子供たちは相変わらずカヌーの船底に寝そべって絵本を読んでいる。子供にはきっと「非日常」がないのだろう。普通ではない景色を楽しむには普通の世界にどっぷり浸かり普通の経験を積む必要がある。子供たちの無感動具合を見ていると最大の感動を得るには長い長い普通の生活が欠かせないのだろうと思う。平凡な日々の大切さを噛み締める良い機会を子供たちは与えてくれる。

渓谷から出ると相変わらず広い青空が広がっていた。湾の中にはレジャーボートが増えていた。あるレジャーボートは僕らの木の葉のようなカヌーには全く遠慮無く大波を立てて爆走していく。波にバウを向けて波をやり過ごす。

船には十代と思われる若い男女が8人ぐらい乗っていた。その船は崖片側が10メートル以上の崖になっている島にたどり着くと崖のてっぺんに登り、そこから次々にダイブした。飛び込むのを躊躇する者にはレジャーボートから「飛べ!」と大合唱が始まる。最後のまで飛べなかった女の子がいた。僕は飛び降りた時にビキニが取れておっぱいでも見えはしないかと期待していたが。湖に飛び込むと若者達からは健康的な大声援が起こった。

遠くから大音量でハードロックの大御所ヴァン・ヘイレンの名曲ジャンプの曲が聞こえてきた。その音楽は数人が宿泊出来るハウスボートと呼ばれる大型の船から聞こえてきた。ハスボートとは船のキャンピングカーと思ってもらえばよい。金属製のいかだにキャンピングカーの住居部分を載せたもので操行性能は完全に二の次になっている船である。

ハウスボートは3メートル程の崖を持つ岸のそばに係留されている。崖の上には十歳前後の子供が3人立って湖面を覗き込んでいる。ボートにはその両親とおもわれる男女がデッキチェアーに座り、盛んに子供達に声をかけている。
「いけいけ!大丈夫!」

先ほどの若者の大半は10メートル以上もある崖から躊躇せずガンガン飛び込んでいたのでスゲーなと思っていたが、なるほどこうやって子供の頃から鍛えられているのだなと納得がいく。

とにかく、アメリカ人はモーターが大好きだ。昼間のレイクパウエルはボート天国であった。それでもなぜかモーター音の不快さはあまり感じられなかった。大抵のモーターボートは僕らの姿を見つけるとスピードを落として波が立たないように配慮してくれたし、僕らを避けるように大回りしてくれた。

モーターボートだけの遊び場かというともちろんそんな事はない。僕らと同じ動力無しで湖を楽しむ仲間を水面に見つけることもある。それでもここはやはりアメリカ。僕が住むカナダではあまりお目にかかれないタイプのカヤッカーにも出会う事ができた。

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