ボートランプにある小さな桟橋にはもう一台の車が停まっていた。若い男性が車からカヤックを下ろしていたので声をかけてみた。
「こんにちは、僕らは東にある入江を目指します。これから2泊だ。楽しみですね。」
「僕らは逆の方向へ一泊だよ。お互い楽しみましょう。」
彼らは3人パーティーだ。大量の荷物を車から下ろし、カヤックに荷物をパズルのように考えながら積み込ん積み込んでいた。やはり荷物のハンドリングは圧倒的にカヤックよりもカヌーの方が楽である。
風の全くない青空が広がってる。夕方近い午後の太陽が砂漠の赤い岩肌と湖の水面を強烈に照らす。
照り返した光線が激しく肌を刺す。ユキヨは奇妙なぐらいつばのお大きな帽子を被り、バンダナで顔を覆っている。このままアメリカのコンビニに入れば間違い無く即銃殺されるであろう。
それでも砂漠の太陽対策はこれぐらいやらないと数時間で真っ黒だ。女性にはぜひ日焼けに気を使ってほしい。
穏やかな水面を切り裂くように進む。岸からなるべく離れないようにカヌーを進める。対岸までは約1キロ。レイクパウエル全体から見れば湖の幅は非常に狭い。転覆しても、子供達を岸まで着ける自信はあるが、最大の安全策を取る。
岸際を漕ぐと浅瀬を通過する。気をつけないとカヌーの底が岩に乗り上げるぐらい浅くなっている場所がある。軽いカヌーなので乗りあげても大した事にはならないので気にせず岸に近い場所を漕ぐ。
「おい、お前ら。水の中を見てみろ。きれいだぞ。」
子供達に声をかける。相変わらず子供の反応は少ない。子供にとって水面の色の変化よりもテレビの中のアニメの方が刺激が強く感動的だ。
よく考えれば当たり前の理論を親は理解せず子供に大人の価値感を押し付ける。自然が素晴らしくテレビが良くない理由は誰が創りだした常識か。
よく考えれば当たり前の理論を親は理解せず子供に大人の価値感を押し付ける。自然が素晴らしくテレビが良くない理由は誰が創りだした常識か。
しかしながら当然僕の感情もエゴに走りイライラしてしまう。この際この感情は無視しよう。僕ら夫婦が楽しめればそれでいいではないか。親がハッピーなら子供がハッピーが我が家の持論である。僕らは十分感動しながらカヌーを進めた。
途中、アンテロープキャニオン行きの観光船とすれ違う。観光船には数人の客が乗っていた。手をふると皆笑顔で手を振り返してくれた。観光地は基本的にほがらかムードでいい。
1時間ほどでアンテロープキャニオンの入り口に着く。入り口の幅は20メートルほど。ガイドブックを見るとキャニオンの入り口付近にはいくつもキャンプ可能な場所が記してある。キャニオンに入ると両側は5メートルほどの崖が続く。上陸出来そうな場所を探してゆっくり漕ぐが、全く上陸できそうな場所は見当たらない。
前回のトリップでもガイドブックと湖岸線が全く変わっていたのを思い出した。かつて上陸可能だった場所も湖の水位が下がりキャンプ可能地点ははるか崖の上になってしまったようだ。
気がついた時には日没が近づいていた。僕らはアンテロープキャニオンから出るとキャニオン入り口近くに上陸出来る場所を見つけテントを張った。
キャンプ地は上陸してから数分岩のスロープを登った場所に設営した。周りを岩に囲まれた砂漠で実に夕日が美しい場所だった。キッチンを水際に作り簡単な夕食を済ませて子供達の世話を妻に任せ、夕日のよく見える岩の上で本を読みながらビールの栓を抜いた。最高のひとときだった。明日の度ではひどい目に遭うことも知らずに・・・・
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