2013年3月22日金曜日

レイクパウエル 15 砂漠の渓谷に侵入!別世界が広がった

夕日が沈むまで岩の上でビールを飲む。思考が薄くなり、心地良い気分で夕日が岩の間に沈んでいく様子を眺める。沈んだ夕日の光が岩の間から漏れる頃になると自分の頭上を越えて反対側は黒に近いブルーが広がる。濃いブルーの中には星がまたたき、星の数が徐々に増えていく。星が空全体を覆う頃には明日を目指す太陽は完全にその光を失い、闇に星が繰り出す光の点が隙間なく空を覆い尽くす。
アルコールに侵された頭脳で宇宙を感じたところでテントに戻る。テントは本を読む嫁のヘッドランプで弱い灯台になっていた。その弱い光を頼りにテントのファスナーを開けて一言も言葉を発せず寝袋で闇の星を頭に浮かべて眠りに入った。
毎日やってくる朝を迎える。 相変わらずテントが太陽に暖められて体温上昇にて目が覚める。子供達は汗をびっしょりかいているのに意地になっているかのように目を覚まさない。テントの入口のファスナーを開けると一気に新しく冷たい空気がテント内に流れ込み心地良い。
いつものように嫁のコーヒーの為にお湯を沸かす。子供達の朝食を作る。自分の腹に食料を入れて心身共に落ち着く。キャンプ生活に慣れると一定のリズムが出来る。まるで高校時代学校に行く平日の朝のように朝起きてから学校に着くまでのルーティーンのように身体に一連の作業が身についてくる。
朝の儀式を終え、ジリジリと刺す太陽の元で子供達と遊ぶ。子供達と充実した時間を過ごした・・・なんて感じることは僕には絶対にない。いつも仕方なく遊ぶ。壮大な景色に見とれてゆっくり景色を眺めて時を過ごしたい。太陽で暖められた間もなく正午の暖められた空気に触れて誰にも邪魔されずに長編小説を読みたい。午後の灼熱の太陽の下、適当な高さの崖を見つけて思い切り冷たい湖面に飛び込んでみたい。やりたいことはいっぱいあるが子供達は僕に執拗にからんでくる。仕方なしに全て諦め子供達の相手をする。何度も何度も同じギャグをやらされ心からうんざりする。
思い返せば、長女が6ヶ月を迎えた頃には夫婦一緒に座って食事をした記憶がない。長女は起きている間は立って抱いていないと泣き続ける赤ちゃんだった。今思い返すとあの苦労も良い想い出だが当時は本当に大変だった。大変だったが今思い返せば本当に心から懐かしい。そんな経験があるから今でも仕方なく心底自分のやりたいことを諦め自分の子供と遊ぶ。気の長い期待が将来最高の楽しみに変わるのを楽しむセンスは20代の頃には絶対なかった感覚である。
子供達のしつこい要求をいい加減振り切り早めの昼食を済ませる。アンテロープキャニオンに向けて出発だ。


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2013年2月28日木曜日

レイクパウエル 14 砂漠の渓谷に侵入!別世界が広がった


ボートランプにある小さな桟橋にはもう一台の車が停まっていた。若い男性が車からカヤックを下ろしていたので声をかけてみた。
「こんにちは。どちらまで?」

「こんにちは、僕らは東にある入江を目指します。これから2泊だ。楽しみですね。」
「僕らは逆の方向へ一泊だよ。お互い楽しみましょう。」
彼らは3人パーティーだ。大量の荷物を車から下ろし、カヤックに荷物をパズルのように考えながら積み込ん積み込んでいた。やはり荷物のハンドリングは圧倒的にカヤックよりもカヌーの方が楽である。
風の全くない青空が広がってる。夕方近い午後の太陽が砂漠の赤い岩肌と湖の水面を強烈に照らす。
照り返した光線が激しく肌を刺す。ユキヨは奇妙なぐらいつばのお大きな帽子を被り、バンダナで顔を覆っている。このままアメリカのコンビニに入れば間違い無く即銃殺されるであろう。
それでも砂漠の太陽対策はこれぐらいやらないと数時間で真っ黒だ。女性にはぜひ日焼けに気を使ってほしい。
穏やかな水面を切り裂くように進む。岸からなるべく離れないようにカヌーを進める。対岸までは約1キロ。レイクパウエル全体から見れば湖の幅は非常に狭い。転覆しても、子供達を岸まで着ける自信はあるが、最大の安全策を取る。
岸際を漕ぐと浅瀬を通過する。気をつけないとカヌーの底が岩に乗り上げるぐらい浅くなっている場所がある。軽いカヌーなので乗りあげても大した事にはならないので気にせず岸に近い場所を漕ぐ。
水深が浅い場所を通過する度に水の色が緑色に変化し、水中の地形がグラデーションのように水の色を変化させる。そんな水面下の劇場に見とれながらカヌーを進める。
「おい、お前ら。水の中を見てみろ。きれいだぞ。」
子供達に声をかける。相変わらず子供の反応は少ない。子供にとって水面の色の変化よりもテレビの中のアニメの方が刺激が強く感動的だ。
よく考えれば当たり前の理論を親は理解せず子供に大人の価値感を押し付ける。自然が素晴らしくテレビが良くない理由は誰が創りだした常識か。
しかしながら当然僕の感情もエゴに走りイライラしてしまう。この際この感情は無視しよう。僕ら夫婦が楽しめればそれでいいではないか。親がハッピーなら子供がハッピーが我が家の持論である。僕らは十分感動しながらカヌーを進めた。
途中、アンテロープキャニオン行きの観光船とすれ違う。観光船には数人の客が乗っていた。手をふると皆笑顔で手を振り返してくれた。観光地は基本的にほがらかムードでいい。
1時間ほどでアンテロープキャニオンの入り口に着く。入り口の幅は20メートルほど。ガイドブックを見るとキャニオンの入り口付近にはいくつもキャンプ可能な場所が記してある。キャニオンに入ると両側は5メートルほどの崖が続く。上陸出来そうな場所を探してゆっくり漕ぐが、全く上陸できそうな場所は見当たらない。
キャニオンを30分進んだところでガイドブックを改めて確認すると既にキャンプ可能な印がある場所を数カ所過ぎてしまっていた。
前回のトリップでもガイドブックと湖岸線が全く変わっていたのを思い出した。かつて上陸可能だった場所も湖の水位が下がりキャンプ可能地点ははるか崖の上になってしまったようだ。
気がついた時には日没が近づいていた。僕らはアンテロープキャニオンから出るとキャニオン入り口近くに上陸出来る場所を見つけテントを張った。
キャンプ地は上陸してから数分岩のスロープを登った場所に設営した。周りを岩に囲まれた砂漠で実に夕日が美しい場所だった。キッチンを水際に作り簡単な夕食を済ませて子供達の世話を妻に任せ、夕日のよく見える岩の上で本を読みながらビールの栓を抜いた。最高のひとときだった。明日の度ではひどい目に遭うことも知らずに・・・・

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2013年2月6日水曜日

レイクパウエル 13 砂漠の渓谷に侵入!別世界が広がった


太陽がテントを照らす前に目が冷めた。テントから出るとキーンとした空気の中、クラークが既にワンバーナーでお湯を沸かしてコーヒーを入れていた。

砂漠の朝はテントから出た瞬間、身体全体をリフレッシュさせてくれる。海から千キロ以上離れた乾燥した大地では一日の気温差が半端ではない。朝に10度以下だった気温が午後の2時を過ぎると30度近く上がることは珍しくない。
砂漠の夜明けでは頭から熱が放射され、寝袋の中でモヤモヤしていた脳が叩き起こされる。太陽が岩の間から東の岩山を照らし始めると、あっという間に僕の足元まで光がやってくる。足元を照らした太陽は長く伸びた僕の影を映し出し、一気に身体を暖める。そこにクラークの入れたインスタントコーヒーを喉に流し込むと今日一日の始まりだ。
キャンプ場全体が目覚め出した。朝早く起きだしたキャンパー達はそそくさと荷物をまとめて車に乗り込みキャンプ場を去って行く。ほぼ満員のキャンプ場の人々は一体どこを目指しているのだろうか。答えはキャンプ場を出て行く車のダッシュボードにあった。
ダッシュボードには何か許可証のようなものが置いてある。よく見れば「ザ・ウェーブ」への許可書である。このキャンプ場の人気は「ザ・ウェーブ」に支えられていたようだ。
キャンプ道具をまとめてハイウェイに向けてダートロードを走ると沢山車が停まっているトレイルヘッドがあった。トレイルヘッドに駐車している車のダッシュボードにはキャンプ場で見かけた許可書が置いてある。どうやらここが「ザ・ウェーブ」入り口らしい。すでに駐車場には人気がなかった。
クラーク宅に着く。今日はまた、レイクパウエルのバックカントリートリップに出発する日である。クラーク宅でシャワーを浴びてゆっくりする。

今日は休日だがクラークの孫達は忙しい。小学6年生ぐらいの年になる男の子のブライセンは毎週末サッカーの試合だ。下の子エリザベスはダンス教室。送り迎えするクラークも実に忙しい。せっかくのゴツイ日産トラックもファミリーカー状態である。奥さんとはすでに離婚している子供達の父親は救急救命士で現在ナバホ族の村に出張中で帰って来ない。クラーク夫妻はこの家に無くてはならない存在である。
キャンプ生活が続いたせいか、クラーク宅で思わずゆっくりしてしまった。僕はブライセンとスケートボードを近所の教会の巨大な駐車場で楽しみ、子供達はブライセン兄妹の小さい頃のおもちゃや本を漁っていた。またカヌーに積み込む荷物が増えること間違いなしである。僕は心から巨大なぬいぐるみなどが出てこない事を願った。
バックカントリーに向けて出発である。すでに午後3時。のんびりはいつもの通りだが、真面目なアウトドアマンには怒られる時間だ。今回のトリップはまた2泊3日。レイクパウエルのアンテロープポイントという場所から漕ぎ出す。アンテロープポイントはかの有名なアンテロープ・キャニオンがレイクパウエルに続く渓谷の近くにある。
アンテロープキャニオンポイントは人気が無くひっそりとしていた。ボートをおろすランプの入り口に国立公園レンジャーの車が停まっていた。
僕らがボートランプに近づくとレンジャーの車から若いオフィサーが出てきた。
「こんにちはどちらまでですか?」
「ここから2泊カヌーで漕ぎだしてキャンプをする予定だ。」
実は明日にはこのボートランプは閉鎖になります。きょう漕ぎだしてもいいんですが、帰って来る時には水際まで車は入れません。」
「了解!教えてくれてありがとう。」
本来はクルーザーなどを下ろすためにある、水面下まで続くコンクリートの傾斜した道を水際まで車を進めた。
カッコ悪いファミリーバンから日焼けで変色した赤いカヌーを降ろし、水面に浮かべた。かみさんは子供達にライフジャケットを付けて、細々とした荷物を車から降ろす。僕はカミさんが下ろした荷物をカヌーに積み込む。
コクピット席と子供達の乗るスペースを快適にしつらえると出発の準備はOKだ。カミさんの本OK、俺の酒OK、子供たちのおもちゃOK!バケーションは残り少ない。一泊二日のウィルダネスへの旅の始まりだ。

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2013年1月30日水曜日

レイクパウエル 12 砂漠の渓谷に侵入!別世界が広がった


ハイウェイを30分ほど走るとクラークのトラックはダートロードに入った。僕らのファミリーバンはダートの道はちょっとつらい。それでもクラークの日産トラックにかろうじてついて行った。
ダートロードは岩山に囲まれた砂漠地帯をどこまでも続いている。クラークのトラックは乾いた大地の砂煙をもうもうと上げて進んで行く。彼のトラックに近づき過ぎると砂煙で全く前が見えなくなる。時折、対向車とすれ違うと砂煙が視界を完全に遮る。僕はブレーキを踏んでスピードを十分落として視界が戻るまでやり過ごした。その間にクラークのトラックははるか彼方にすっ飛んでいる。地味にスピードを上げてなんとか追いつく。その繰り返しで結構疲れる運転である。

途中ハイキングコースのトレイルヘッドをいくつも見かける。それぞれ数台の車がとまっていた。結構ハイキングにはポピュラーな場所のようである。
元気よく走っていたクラークのトラックがスピードを落とし小道に入っていった。ついて行くとそこはキャンプ場だった。トイレ以外の施設はないが、各キャンプサイトには屋根のついた吾妻屋とピクニックテーブル、そして焚き火が出来るファイヤーピットが設置されている。それぞれのキャンプサイトはお互い干渉しない程度に離れており、僕が泊まった事のあるキャンプサイトの中ではトップクラスの場所だった。
「思ったより遠くて悪かったね。30分ぐらいで着くと思ったんだけど。昔来た時にはそれぐらいで着くと思ったんだけど。ごめんごめん。」
時計を見ると既に5時近い。話を聞けば現在は既に40歳を過ぎたタバーンを連れてきたのが最後らしい。それでは覚えていなくて当然だ。
「素晴らしいキャンプ場だろう。しかも無料!」
アメリカには無料のキャンプ場が多い。無料キャンプ場のガイドブックが発売されているぐらいである。大抵の無料キャンプ場は管理されていること無くビール瓶やタバコの吸殻が散乱しているような場所多いのだが、ここは素晴らしく手入れが行き届いていた。
キャンプサイトを決めてクラークと周辺を散歩する。
「健司はアリゾナトレイルって知っているか?かなり有名だから健司みたいなリサーチ好きな奴は誰でも知っているはずだ。何?知らない?アリゾナからメキシコまで伸びているトレイルだ。多分世界的に有名なはずだ。僕とエミリーはこのアリゾナトレイルの数マイルを作ったんだ。スコップを持ってね、ボランティアで・・・・」
残念ながら僕はアリゾナトレイルの存在を知らなかった。後で知った事だがかなり有名なトレイルだ。
太陽が沈む前にファイヤーピットに薪を入れて火をつける。大きな木が新聞紙一枚で簡単に本格的に燃え上がる。
完全に日が沈むと焚き火を囲んで話が盛り上がる。クラークも珍しくビールに手をだした。一年でアルコールを飲むのは数回らしい。久々のアルコールでクラークの話は盛り上がる。以前に聞いたことのあるストーリーが再び語られる。僕はそれを聞いても面倒な気分にはならなかった。初めて聞くストーリーのようにドキドキしながらクラークの話を楽しんだ。
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2013年1月20日日曜日

レイクパウエル 11 砂漠の渓谷に侵入!別世界が広がった


クラークは携帯電話から大きく目を離して電話をかけ始めた。老眼にはスマートフォンでも文字が小さ過ぎるようだ。
「ウェーブって知っているか?うんうんそうか、それじゃ」
クラークは数カ所に電話をしたが、ウェエーブの情報を持っている人はいなかったようだ。世界的に有名な場所だと信じていた僕にとっては驚きの事実だった。
玄関から突然大男がクラークの家に入ってきた。正確にはクラークの息子の家だ。玄関から入ってきた男はクラークの息子、タバーンの親友だった。
「ウェーブって聞いたことあるか?」
クラークはその大男にそう聞いた。
「おお、知っているよ。知り合いのフォトグラファーが写真を取りに行ってたよ。人数制限のある場所だろ。入り口はとくにゲートがあるわけじゃないようだ。俺の友達が迷ったふりしてウェーブに入り込んだら公園のオフィサーに捕まったらしい。そいつは知らなかったの一点張りで難を逃れたらしい。」
やっとウェーブを知る男が登場。日本で超有名は世界で有名とは限らないので注意。それにしても地元の奴らがほとんど知らないと思ってはいなかった。
クラークはかなり面目なさそうだった。ペイジには10年以上住んでいたから何でも俺に聞け、と豪語していたのだからそれはそうであろう。
「どうやらウェーブは日本のマスコミが勝手に持ち上げたんだろうね。日本のマスコミは何でも話題を大げさに取り上げるからそのせいだろう。きっとウェーブは日本でだけ有名なんだろう。」
「いや、アメリカのマスコミはもっとひどい。大体アメリカ人てのは旅行に行くと大体旅行先で嫌われている。これは恥ずべきことだが・・・・」
クラークの話が長くなりそうだったので素早く今夜のキャンプの話題に話を切り替えた。
「快適な家に泊めてもらえるのはものすごく嬉しいんですが、砂漠の世界にドップリ浸かりたい。どこか良いキャンプ場はないかな。バックカントリーの雰囲気がたっぷり出ているところがいいんですが。」
「それだったら素晴らしい場所がある。昔子供達をよくつれていったな。僕も今夜一緒にキャンプしよう。」
クラークはキャンプ道具を車に積み始めた。クラークのキャンプ道具は見事にシンプルだった。2人用テント、寝袋、ヘッドライト、ストープ、鍋、水筒、以上だ。
キャンプの準備が終わるとすでに午後の4時だった。
「クラーク、今日の夕食は何にしようか?」
「夕食?夕食ならさっきエミリーがパスタ作っていたぞ。早めの夕食をとってからキャンプに出かけよう。」
日本生まれ日本育ちの僕にとっては夕食作りもキャンプの醍醐味の一つである。一般アメリカ人にとって食とは腹を満たす行為でだけしかないらしい。南西部の砂漠地帯の食文化に大いに落胆した瞬間であった。
その土地の食文化を知りたければ地元の人が使うスーパーマーケットに行けばいい。ペイジの町の一般家庭がよく使うスーパーマーケットとはアメリカ全国チェーンのウォルマートでありウォルマートにある食材がその土地の一般家庭の食生活全宇宙なのである。ちょろっとこの街に来たツーリストが発する悪口のように聞こえるかもしれないが多分大方当たっていると思う。
エミリーは鍋たっぷりのパスタを作ってくれた。
「いっぱい食べなさい。けんじの仕事だよ食べるのは。」
世界中どこに行ってもおばあちゃんと言うのは実に食べてほしい種族のようだ。たくさん食べるとたくさん喜ぶのでたくさん食べることにした。
ギュウギュウ詰めの腹をさすり、子供たちを車に乗せた。僕らのキャンプ道具は車に全部載っている。キャン道具と言うよりも2週間分の生活道具全てが車に積んである。「なるべくシンプルに生きること」をモットーとしている僕にとっては荷物の少なさが大変心地よい。旅に出ると強制的に必要最低限の「物」で生活しなければならない。
クラークの車を追い。彼、おすすめのキャンプ所に向かった。


2013年1月4日金曜日

レイクパウエル 10 砂漠の渓谷に侵入!別世界が広がった。


次の日も同じように起きるまで寝て午前中は湖水浴を楽しみ午後にカヌーを浮かべ湾内のクルーズを楽しんだ。夜は相変わらず数限りない星の下で最高の焚き火を堪能し、テントに入った。翌日は昼までゆっくりし、キャンプ道具をカヌーに再び積み込み車を止めてあるビーチに戻った。

パーティー会場になっていたビーチはウイークデイを迎えすっかり静かになっていた。僕らのシェビーミニバンは無事ビーチに残っていた。カヌーから運び出した荷物を車に積み込む。改めてカヌーの積み下ろしの便利さを実感する。

重いカヌーをミニバンに載せ終わると僕らは再びクラークおじさんとエミリーの家に向かった。僕らはそのままクラークとキャンプを楽しむ予定だった。

「おかえり。どうだった湖は?いっぱい泳いだかい。この辺りの人は泳ぐ季節じゃないから貸切だっただろう。」

若者の崖ジャンプの度胸試しを楽しんでいたが、子供が遊んでいる姿は全く見かけなかった。40度以上まで気温が上がる砂漠地帯ではすっかり秋の雰囲気に入り、泳ぐという気分にはならないらしい。

クラークの住むペイジ近郊には世界的に有名な観光地が数多く点在している。その中でも最も有名なのが「アンテロープキャニオン」である。砂岩でできた美しい渓谷で写真を見たことのある人も多いだろう。「アンテロープキャニオン」で画像検索すれば簡単にその絶景を見ることが出来る。


もう一つ有名な場所が「ザ・ウェーブ」だ。ペイジから西に30分ほど車を走らせた砂漠地帯にある。砂漠に現れる岩山の一部が数センチ単位の細かい地層が地殻変動で波のようにうねりを作りだしている。希少な景観を守るために1日20人に入場が制限されている。入場許可を取るにはインターネットでの抽選、もしくはペイジの隣町「カナブ」のインフォメーションセンターで早朝の抽選会に参加しなければならない。世界でたった20人だけが入場を許可される超有名スポットだ。インターネットでも「死ぬまでに一度は見てみたい風景ベスト10」などに選ばれている。

「クラーク、ウェーブはどの辺りにあるんですか。」

「ん?ウェーブ?聞いたことが無いな。エミリー、そんな地名聞いた事ある?」

「いや、聞いたことないね・・」

なんとペイジに10年以上住んでいたことがあるのに世界的に有名な「ザ・ウェーブ」を知らない。というよりも「ザ・ウェーブ」は日本でのみ「世界的に有名」だということが判明。こんなのは他にもたくさんありそうだ。





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